一期一会。

「一期一会」という名のお店で、一期一会の出会いがあった。

オープン以来、よく通っていたこのお店に、先日久しぶりに買い物帰りに立ち寄った。

美味しいパスタに生ビールを一杯と思っていたら、カウンターに青年が一人座り、言葉を交わすと、ある人と待ち合わせと言う。

そのある人とは、前の週にこのお店で会ったという、70代のおじいちゃん…

初めて会って色々な話しをしてくれたと言うおじいちゃんに、「来週もここで会おうな!」と青年に言い残し、別れたらしい。

その口約束だけでやってきたこの青年に、私は心中「70代のおじいちゃんだし、お酒の席の話しだから、今日は来ないのでは…」と思いつつ、そのおじいちゃんを待ちわびる青年に、純粋な心を見る。

そして、カウンターには、新たな女性がやって来る。

その女性は、「角打ちミュージシャン」なる50歳の女性。

Wikipediaによると、角打ちとは、「酒屋の店内において、その酒屋で買った酒を飲む事」と記述されている。

そんな「角打ち」に「ミュージシャン」の要素もプラスされ、益々興味深さも増したところで、帰ろうとしていた腰を下ろし、女性の話しに耳を傾ける。

やりたい事に前進し、「人が好き!」とキラキラと目を輝かせながらマシンガントークを繰り広げるこの女性に、私もどんどん引き込まれる。

そうして日々の活躍話しに耳を傾けていると、そこへ、青年が心待ちにしていたおじいちゃんが登場。

私の想像を越えるオーラを放った、おじいちゃんならぬご年配ダンディー。

青年が「待ち人」になるのも納得の、人生の指南者的存在。

こうして、2度目の腰を下ろす(笑)

聞けば、雑誌の編集長の方だと言う。

制作している雑誌を見せて頂き、表紙から構成から文章に至るまで、すべて「粋」な編集長流の流れに、その雑誌に釘付けになりながらページをめくり、読み進める。

私は「凄い」の連発をしながら、編集長は言う。

「一番偉いのは、農家さんですよ。私達物書きの職業は、なくなっても何ら困る事はないけれど、農家さんがいなければ私達人間は、生きていけないんですから。」
と、オーラを放つ編集長の言葉は、心を打った。

雑誌制作の裏話しや制作秘話など、普段聞く事の出来ない話しに、私は感心しながらすっかり聞き入るばかりだった。

そんな私の姿に、編集長は「人の話しに耳を傾ける姿が、聖母のようだ」と言う(笑)

私のような一般人にとっては、聖母に見えるくらいに聞き入り過ぎるだけの事だったとは感じながら(笑)、顔の相までも誉めて頂き、この年齢になると、中々誉められる事も少なくなる中、青年と同じく、人生の勇気までももらえる有難い言葉を色々と頂く事が出来た。

50代にしてあのパワー。

70代にしてこのパワー。

人は、生き様だ。

人生の楽しみを学んだ「一期一会」の出会いがあったこの日、まさに神回であった。

そうして、それぞれが帰途につく。

夜空は澄んでいた。