六本木の劇場で行われた演劇「正義の人びと」。
フランスの文学者であり、思想家である、アルベール・カミュの不朽の名作。
その演劇に、友人が出演。
コロナ禍の中、座席数を減らしての上演だった。
彼女は、革命を志すロシアのテロリストの若者の一人「ドーラ」を演じた。
本当の正義とは何か、を考えさせられ、人間の内に秘めた様々な葛藤や憎しみ・愛について、深い内容で物語が進められる。
3時間程の長丁場の上演を、少ない場面展開で数人の役者さん達が演じる様は、本当に素晴らしかった。
スポットライトを浴びた役者さん達は、輝きを放ち、演じる喜びに満ち溢れていた。
そして、上演後の役者さん達によるアフタートーク。
彼女は、コロナ禍の中、劇場に足を運んでくれたお客さん達を労った。
そして、こうしてお客さん達の前で演じる喜びと、生の演劇でこそ届けられる演劇の魅力を、熱く語った。
「演じる」事が何よりの彼女の生き様なのだと、深く心を打った。
それはまさしく、劇団「俳優座」の役者そのものだった。
彼女は幼少期からバレエを習い、高校生の時に演じた「ウエスト・サイド物語」がきっかけで、芝居への道に進む事を決意。
そして、大学の演劇学科に進学をし、劇団への道へ。
研究生から始まり、正式な劇団員になるまでには、生半可な覚悟では辿り着けない。
そんな世界で生きると決めた彼女を、ある時、生きる希望を見失う程の葛藤と苦しみが襲う。
人生は一度きり。
思いきり、好きなように生きていく。
あとから悔やむことのない生き方を!
そして彼女は、見事に困難を乗り越えた。
「止まない雨はない」
「どんなどしゃ降りの空も、いつかは晴れる」
彼女が好きな言葉。
役者として演じる幸せを自ら掴み、人生の幸せにも繋げている魅力溢れた彼女とは、自宅が近い事もあり、会う度何時間も語り明かす。
役者に、祖母の介護に、子育てに、日々を奮闘しながら生きる彼女は、又「誰か」を演じる日の為に、今日も懸命に生きる。
そんな彼女に、心からのエールとたくさんの拍手を送りたい。